マチトのブログ

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ふるさと納税は本当に「得」なのか?


 どうも、マチトです。

 

 今や全国的な知名度となった"ふるさと納税"ですが、節税に役立ったり、お得な制度だということでご存知かと思います。できるビジネスマンはふるさと納税をしている、という印象もあるかもしれません。

 

 このふるさと納税を、本記事では社会学の観点から徹底解説しようと思います。

 

 ふるさと納税とは何か?個人にとって得するのか?そして、社会にとって得するのか? こんな観点で網羅的に解説していきますので、ぜひ最後まで目を通していってください。

 

 

 

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ふるさと納税とは?

 

 まずは、ふるさと納税の概要を説明しましょう。

 

 ふるさと納税とは、地方創生や税収格差是正のために2008年頃から始まった、寄付と減税が組み合わさったシステムです。

 

 例えば、寄附者であるあなたが5万円を札幌市に寄附します。それを税務署に申請すると、寄付額-2000円、つまり4万8千円分の税金(所得税、住民税)が控除されます。

 

 さらに嬉しいことに、寄附した先の札幌市からお礼として特産品が送られてきます。この返礼品と呼ばれるものが2000円以上の価値がある品だと、結果的にお得だと言えるわけです。

 

 地方自治体は自分たちの町への寄附をできるだけ集めたいので、米や海産物などと、返礼品もかなり豪華になっています。よって、大半の返礼品が2000円以上の価値があり、寄附者にとってはかなりお得な制度となっているのです。

 

 正直言って寄附者にとって大したデメリットはありません。強いて言うならば手続きに時間がかかることくらいでしょうか。

 

 詳しく知りたい方、興味のある方は大手のふるさと納税サイトをチェックしてみてください。

www.furusato-tax.jp

 

 

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ふるさと納税で勃発した事件

 

 しかし、このふるさと納税はとある事件を引き起こしました。

 

 上で述べた通り、各自治体は寄附を集める為に返礼品をどんどん豪華にしていきます。

 

 大阪府泉佐野市は2018年度、2位以下と大きく差をつけ、全国トップの498億円を集めました。その返礼品は、高額なAmazonギフト券や地元と無関係な牛肉など。

 

 こうした過度な返礼品や地元と無関係な品を規制するために、2019年5月、泉佐野市など4市町村がふるさと納税の対象から外されました。この総務省の対応に泉佐野市は抗議し、提訴するという事件が起こりました

 

 この泉佐野市と総務省の戦いは今も続いていますが、ここで疑問が生まれると思います。

 

なぜ過度な返礼品が問題なのか?

 

 これについて詳しく解説します。

 

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ふるさと納税の問題点

 

 それでは、返礼品が高額化することの問題や、ふるさと納税自体の課題を解説していきます。

 

①税収の格差是正ができていない

 

 そもそも都心に集中する税を分散させる目的だったが、今は豪華な返礼品を用意できる一部の市町村に税が集まっている状態です。

 

 その結果、都心の税収が落ち込みすぎていることが問題となっています。また、返礼品の人気が無い地方自治体は税収も寄付金も少なく、格差が広がり続けているのが現状です。

 

②国全体の税収が減っている

 

 この制度は、個人が利用する分には間違い無くお得です。裏を返せば、国からしたら損しているのです。

 

 最初の例で説明します。新宿区に住むあなたが5万円を札幌市に寄附し、4万8千円分の税金控除を受けたとします。

 

 すると、札幌市は5万円の収入得て、新宿区は4万8千円の収入を失います。(少し異なる部分もありますが、分かりやすくする為に簡略化しています)

 

 そして札幌市が1万円相当の返礼品をあなたに送ると、札幌市は結果的に4万円の収入となります。新宿区は4万8千円を失い、札幌市は4万円を得ているので、全体で8千円の税収を失っているのです。

 

 当然ですが、返礼品が豪華になればなるほど失う税収は増えていきます。この場合、札幌市からすれば5万円未満の返礼品にすれば黒字なので高額化しがちですが、高額化するとこんな問題が起こるのです。

 

③地元の産業が打撃を受ける

 

 返礼品は、自治体が地元の企業や農家などに委託して用意しています。当然ですが自治体はなるべく安く、価値の高い商品を手に入れようと努力します。すると、低価格で商品を自治体に提供することになり、商品を提供する側は儲からないのです。

 

 そして企業は大量の商品をベルトコンベア式で作り、梱包し、発送します。さらに言うと、ふるさと納税の仕組みはいつまで続くか分かりませんし、自治体が方針を変えればすぐに仕事が無くなります。このような、簡単だけど不安定な仕事が大量に生まれると、必然的に非正規雇用が増えます。ここにも隠れたデメリットがあったのです。

 

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最後に

 

何度も申し上げますが、ふるさと納税は個人としては得する仕組みだと思います。

 

 しかし、社会にとって得かどうかは一度考えてみる価値があるかもしれません。地方創生の仕組みとしては、このような税金の奪い合いでは無く、長期的に利潤を生み出せる仕組みが求められると僕は思います。

 

 皆さんもふるさと納税を活用するなら、実際に集めた寄付金がどのように使われているのか、地域振興に役立っているのかということを意識していただきたいです。

 

 目の前の利益だけでなく、社会全体を考えて過ごすと新たな視界が開けてくると思います。


それでは、また。